残念としか言いようがない日本のビール事情


統計によれば世界の中で国民当たりのビールの消費量では、日本の位置は上位から53番目だそうな。テレビをつければ一日中ビールの宣伝をしている感がある日本だが、先進国の中ではそんなに多くないんだね。それでも春から夏にかけてのビールの売れ行きたるや、相当なものだと想像していたんだけど。そういえば先日、酒造メーカーに務める親戚の一人がこんなことを言っていた。その企業の主力商品は伝統のウィスキー、今や世界に知られたるあのジャパニーズ•ウィスキー、なのだとばっかり思っていたら、「稼ぎ頭は圧倒的にビール」なんだと。

そんな日本だから、どこのスーパーマーケットに行ったって、きっと色んな種類のビールが買えるに違いないと思っていると、とんでもござぁません! 実はとても悲しい現状なんだと直ぐに悟らされる。ビールの陳列棚を一通り見渡せば一目瞭然。一見数や種類が多くあるように見えるんだけど、よ〜く見ると違うんだなぁ。

ところで、なんでこんなことを話題にするかって? 実は僕ビールの飲み方にはちょっとしたこだわりがあって、おつまみや食事、さらにはその時の気温や湿度などの条件に合わせて、違った種類のビールを飲み分けるのが僕の飲み方。つまりワインと食事のペアリングの様に、ビールだってTPOに合わせて飲み分ける訳。例えば、日差しの強い真昼ならキリッと冷えたラガーやペイルエイル、軽食と共に夕方に飲むならハフェバイゼン、ガッツリと肉料理を食べながらならポーターやスタウト、そしてコース料理のアペリティフ代わりなら、マイナス10度以下に冷やしたフルーティーなもの、とかいう具合にね。


そもそもビールには作り方や原料などの違いから多くの分類がされている。上記のもの以外にもインディア•ペイルエイル、ピルズナー、ブラウンエイル、アンバーエイルなどなど。それらに加えて最近では、様々な野菜や果物もしくはスパイスやハーブなどを混ぜ込んだものまであって、その多くのバリエーションを開拓していく楽しみだって本来ならあって良いはず。少なくとも僕が住むアメリカでは、それは常識である。とりあえず僕の大好きな種類はと言えば、1番がスタウト、次はブラウンエイルで、3番がハフェバイゼン。

ところが日本では、残念ながら上記のどの種類もスーパーには売ってないんだよね。ただ有り難いのは、ゼロシリーズとでも言おうか、カロリーや糖質やアルコール度が完全に抑えられたものがあって、それらを気にする人には持ってこいだし、日本のその類は味がちゃんとビールになってるところがヤバい! でもそれ以外は多少のアルコール度数の違いや微妙なコクや切れ味の違いがあるだけで、基本的にはみんなラガーである。

何でなの?! ここからは僕の独断的な見解なんだけど、最近、特の平成以降の日本人、もしくは日本の文化って、「広く浅く」的な志向が強く、深さを追求しない方向性になっているから(?)。なんか多くの日本人の思考力が低下している(?)。独自のアイデンティティーは必要なく、みんなが右に倣えで満足している(?)

僕はこの30年以上の間「味と食と健康」に関わる仕事をしてきているので、自分の舌(味覚)には自信がある。それは良い悪いの話ではなく、自分の中で美味しいものの基準がはっきりしていると言うこと。たとえ100万人が好きだと言っても、自分の舌が納得しなければ美味しいとは思わない。元来味覚ってそう言うものじゃないの?

風習や慣習に捉われていつまでも自民党支配を支持するのではなく、本当に心底国民や国益を考える人達に政治に委ねる事が大事な様に、自分の舌でよ〜く味わって至高の一杯を追求しようではありませんか、皆さん!

だってさぁ、ほんんりとハーブ感の漂う肉汁たっぷりのジューシーソーセージをがっつり頬張り、細かい泡を冠に纏ったクリーミー感いっぱいの甘くてまったりしたスタウトを流し込む時の至福の感覚! 想像してみてくれーーーぇ!! もう我慢できないでしょ!!!

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